Filmography | 2003-2002

Lily in the Glass

(2003/16mm/6min)

読まれない手紙、顔のない人物、スケールを失う部屋・・・行き場を失い宙に浮いた物語の断片は、その切断面に介入してくる一瞬の光線によって繋ぎ止められている。それらは撮影を始める、あるいは止める瞬間、フィルムの運動が僅かに乱れることで生じる光の集積であり、本来顕在することのないレンズ(Glass)の痕跡である。

赤い花 | Rosecolored Flower

(2002/video/12min)

窓辺の一輪挿しに生けられた一本の赤い花に向かってカメラが、ほとんど気付かない程ゆっくりとズームインする。しかし、近付くほどに焦点はズレ、その花の実像はおろか、色さえも判明できなくなる。その運動はやがて内と外、昼と夜、光と影の回転/反転へと変容する。

Floating Leaf

(2002/video/1min)

暗闇に照らされた植物の葉が光の中で緩やかに浮遊する。音はチューニングの合っていないラジオから流れていた歌声を時間操作している。

お香 | Incense

(2002/video/6min)

編集作業によって暗闇のお香の煙は、スピード変化や逆回転など目まぐるしく変化している。しかし、煙や暗闇は実体の無い不確実な存在であり、それ自体動きの基準となっていない。ふいに煙が乱れるとき、あるいは光が一瞬射し込んだとき、お香の傍らを横切った〈何か〉と、それが出入りする扉らしきものの存在に、私達ははじめて気付くのである。 。